波佐見の米、自然、人々を育む美しい水田

2014.12.19 Friday

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    私は兼業農家に生まれ育ちました。
    両親が小規模な企業で働き、祖母がせっせと農業日雇いに精を出している家庭でした。
    うちの周りは下水道が引かれておらず、便所は汲み取り式でした、所謂ポットン便所!
    ケチな祖母の指示により、自分達のし尿は自分達で処理するために、
    肥溜めを畑に作った経験が私にはあります。
    母親の実家は専業農家で収穫時期には、
    物心つく前から農作業を手伝っていたのもアルバムを見れば、当時の様子をなんとなく思い出します。

    そんな田んぼで土に触れ、米つくりを肌体験している私が、
    波佐見にお邪魔して一番に気が付いたのは、各所にある水田の美しさでした。
    米作りは誰でもできると揶揄されるとおり、基本的には春に稲を蒔いて、
    雑草を取りつづけ、秋になって収穫すればよい。もちろん水などの管理は必要不可欠ですが。
    だからこそ、ただ米を作るという価値観しか持たなければ、水田を綺麗に除草しておく必要もありません。
    それを進めると、減反政策で、米を作らない水田があれば何もせずに放置してしまえば、
    補助金が入ってくるので、それがベストとなります。

    私が言うまでもなく、水田には米を作る以外にも沢山の機能を持ち合わせています。
    洪水を防ぐ水利用途、景観の美、土壌への有機物取込など、挙げればきりがないでしょう。
    美しい水田を維持するには大変な労力を要しますが、
    その見返りもきちんと得られるのが農の営みです。
    波佐見でも高齢化が進展する中、農業に携わり、
    米作りをする人の数はどんどん減っていると農家さんに伺いました。
    それでも、この美しい水田が維持されている現状で保たれるならば、
    まだまだ新しい農家さん候補者が魅了される可能性が十分にあります。

    若い女性が飛行機の客室乗務員を目指すのは、その仕事が美しいと感じるからです。
    美しい仕事をしている人々には、言葉には語り尽くせない魅力が沢山溢れています。
    そんな農家さんの作品である水田は、
    言葉を出さずとも、見るものに訴えかけてくるものがあるのです。

    波佐見には陶磁器という大きな美しい仕事があります。
    それをシャッターで捉える高級デジタルカメラも長崎キャノンで作られています。
    形は変われども、そんな美しい仕事に誇りを持つベースは、全て美しい水田から始まっているのです。

    波佐見の水田と言えば、鬼木の棚田が思い浮かびます。
    多くの観光地では、景観が綺麗なスポットの周辺が汚い場面に出くわすことが多分にあります。
    しかし、波佐見で私が目にした水田は、どの場所でも綺麗に雑草の処理がなされている。
    気になった私は一瀬町長に聞いてみると、荒れた農地があれば、
    町職員や周囲の人々が声を掛けるようになっているとのことでした。

    ニューヨークの地下鉄荒廃を改善するために取られた施策は、
    汚くなってしまった場所をとにかく綺麗に掃除をすることだったそうです。
    身の回りを綺麗にすること、家の中だけに限らず、自らが生活する圏内すべてを。
    これが維持できている自治体は、周囲の人々のことを気にかける住民が自ずと増えていきます。

    波佐見はこれからも変化し続けていくのでしょう。
    しかし、この美しい水田は、いつまでも変わらぬものであって欲しい。
    日本人の精神を表現する最も大切な偶像としても。
    私はそんなふうに波佐見の水田を眺めています。
    実入りが満足でない稲作農家さんをどうやったら支えられるのか、もっと多くの人々が関心を持つべきです。
    JUGEMテーマ:田舎暮らし
    コメント
    小樽郷・鬼木郷・野々川郷の地域を、よくカメラに収めています。本日の波佐見エレジーは非常によかバイ。
    深澤さん
    ありがとうございます。
    土地の名前、小樽郷、野々川郷始めて知りました。
    勉強します。
    • by 城後
    • 2014/12/19 9:18 AM
    この部落の名前は、江戸時代に付けられました。明治になって郷と呼ぶようになり、現在は集落と読んでいます。部落と言うのは行かんのでしょうね。この22部落を取り仕切っているのが、マーちゃん町長です。
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