波佐見・武雄 国盗り物語の舞台 神六山

2014.12.13 Saturday

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    長崎県の地図を見ると中央部に位置している波佐見町ですが、
    唯一海に接していない県域です。
    高速道路やJRの駅などから考えて、どうして長崎県に属しているのか、
    疑問を持たれる方もいらっしゃるはずです。

    江戸時代(厳密に言えば廃藩置県まで)波佐見町は、大村藩に属していました。
    隣町である佐賀県の武雄市は鍋島藩の支配下でした。
    いずれの地域も、その藩政策のもとで重要な位置を占めて、他に取られたくない場所だったのです。
    その藩がそれぞれ独立した県になりましたので、それを今も継承されている訳です。
    武雄市は、今や九州一著名な自治体と言っても良いくらい話題を集めている土地ですが、
    波佐見の方が威勢が良かった時代もあります。
    そんな雰囲気を象徴する場所が、今日ご案内する神六山です。


    以前、深澤さんが波佐見で一番目晴らしのよい場所に案内しようと、
    行き先も告げず、私を車に乗せて連れて行って下さいました。
    波佐見町を横断し、結構な時間を掛けて、山道を登り、
    長崎県県境を越えて辿り着いたのが、この武雄市の神六山頂上であります。

    深澤さん曰く、戦で負けた我が方が、この山の頂上を取られたために、
    今は佐賀県になったとのことでした。
    確かに展望台のすぐ側に県境があり、
    周辺に聳える建造物の一部には波佐見町の文字が記されていました。

    改めてこの稿を書く前に検索してみますと、
    神六山に登る道の途中にはこのような名跡『庵寺』があるようです。

    「藩境の一本杉の跡」と書いてありました。
    藩境といえば上南山の三領石がよく知られていますが、
    この場所には江戸時代に佐賀藩・大村藩・武雄邑の境を示す杉の木があり、
    それが文化年間に枯れて石柱に代わったそうです。
    そこからは国見岳や大神宮、黒髪山などが一望できました。
    車で簡単に行くことができますが、できれば歩いて登ってみられることをお勧めしたい場所でした。

    http://www47.tok2.com/home/yakimono/onna-sarayama/sara40.htm
    (おんなの有田皿山さんぽ史 WEBより引用)
    さらに、上記の一本杉を検索すると、何やら、
    この神六山で行われた小規模な国盗り物語の匂いが漂ってきます。

    44.境 石〜三領石(村木郷)…
    波佐見は県境の町、以前から藩境の村でした。
    三領石は、村木峠から西へ入りみかん畑を通り、少し山を登ったところに建っています。
    高さ7尺1寸(2.15m)幅1尺(30cm)の三角形石柱で、
    正面に「此三領境東西峯尾続雨水分南大村領 彼杵郡(ごおり)波佐見郷」、
    右面には同じく「…東西・・・佐賀領 松浦郡有田郷」、
    左面には「…西北・・・平戸領 彼杵郡早岐郷」と刻まれています。
    今から240年ほど前の寛保2年(1742)に三藩の役人が立ち合って建てた境石です。
    三領石から東へは野々川の一本杉跡の石碑を経て、
    小樽の仏坂の境石までは、分水嶺が佐賀領と大村領の境です。
    以前は大松が点々と並んで境を示していたが、境松のない所や枯れた松には、
    佐賀は角塚、大村は丸塚を交互に築きました。

    波佐見町「はさみ100選 ガイドブック」1987年刊より
    http://hasamiooen.fc2web.com/hasami-sanryouseki.html
    (波佐見町から情報発信 トラフィクス・カフェ WEBより孫引)

    この神六山は、三つの藩の境目があって、それぞれの藩域を巡って諍いが絶えなかったそうです。
    何故かと言えば、各藩ともに主要産業が窯業だったこの時期には、
    窯で焚く薪を探して農民が盛んに山を開いていたようです。
    それで、各藩の役人はきちんと境を定めることを協議した上で、
    この石碑を建造して、しっかりと位置関係を明確にしたのです。
    私には、神六山山頂がどこにあるのかよりも、
    この三領石が波佐見町指定史跡として、現在波佐見町にあることが重要な気がしています。

    何故ならば、波佐見町が、大村、平戸、武雄、佐賀、
    何れに都市へにも結節点にあることの証になるからです。
    観光スポットであり、地域の人々の生活拠点となっているこれらの町は、
    福岡市などに比べれば規模は小さいながらも、
    その街の独自性を持ち、歴史ある土地で、外国人観光客の関心を集めるスポットも豊富です。
    今後、北部九州の観光が盛り上がるためには、波佐見が橋渡し役になれるかもしれない
    というメッセージをこの領石が現代に伝えてくれているような気がしてなりません。

    今は、佐賀県、そして武雄市の観光スポットとして括られることが多い神六山ですが、
    360度のパノラマの半分以上は長崎県です。
    波佐見にお住いの方でも、神六山に登ったことがない方は、
    是非一度その雄大な景色に、時を忘れて浸ってみてはいかがでしょうか。
     
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